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早野 明
写真測量とリモートセンシング, 49(4), p.202 - 205, 2010/09
高レベル放射性廃棄物の地層処分事業においては、総延長約200kmを超える地下坑道の建設が想定されており、処分場建設に伴う壁面地質観察では、工期短縮や建設コスト削減の観点から観察作業の効率化が課題となる。その一方で、地層処分システムの安全評価に必要な地質情報を確実に取得していくことが課題である。三戸ほか(2002)では、対象物の高精度な三次元形状とレーザーの反射強度を迅速に取得できる3Dレーザースキャナー計測(以下、「3Dレーザー計測」)を活用することにより、地質観察の省力化が可能であることを報告している。しかしながら、3Dレーザー計測を適用した地質観察の事例は限られている。そこで、日本原子力研究開発機構は、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において実施している研究坑道の壁面地質観察では、3D-LSを適用した地質観察手法の整備を行っている。これまでの手法整備では、持田ほか(2007)及び早野(2008)ほかにより、堆積岩及び花崗岩を対象にして、反射強度の高密度点群データから生成した画像の画像処理による岩石マッピングの手法の適用性を確認している。
小出 馨
写真測量とリモートセンシング, 47(6), p.4 - 12, 2009/01
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、その安全性を評価するうえで、地下水流動を把握することが極めて重要な項目であるとされている。我が国においても、日本原子力研究開発機構東濃地科学センターにおいて、地下水流動を把握するための研究開発を実施しており、地下水調査機器・調査手法の開発,水文データの観測,地下水流動のモデル化技術の開発を実施している。筆者は、地下水流動解析における涵養量の設定に必要な水収支に関する地表の水文特性及び地下水の流出域並びに水理地質構造をリモートセンシングデータや地形図(DEM)などを利用して推定する手法の開発を行っており、本論では、林相区分の精度向上の一環として、林相区分における多時期衛星データの最適な観測時期の選定について検討を行った。その結果、研究対象領域においては、(1)常緑針葉樹林と落葉広葉樹林との区分には、観測時期が夏(6月)と広葉樹が紅葉する時期の11月とのNDVIの季節変化量が有効である,(2)観測時期が夏(6月)と広葉樹が落葉する冬(12月)とのNDVIの季節変化量は、常緑の林床植物の影響により、針葉樹林と広葉樹林との値の範囲が重なり、区分が困難となる,(3)森林と草地(芝地)との区分には、観測時期が夏(6月)と冬(12月)の衛星データによるNDVIの季節変化量が有効であることを明らかにした。